決算対策・申告

決算予測・決算対策

決算とは?
決算とは、一般には事業年度(通常は1年)終了後、2ヶ月以内に損益計算書・貸借対照表を確定させ、税額計算をして税務申告書を作成し、各官公庁(税務署等)へ提出(申告)するまでの手続きをいいます。一般的に市販の会計ソフト等を使えば、損益計算書、貸借対照表は(正確かどうかは別として)、何とか作成することは可能だと思いますが、相当時間をとられ、苦労しているというお話はよくお聞きします。またその後税額計算の「別表」というものを作成しないといけません。ここの部分は非常に難解です。これらに時間を割くのであれば、税理士を利用していただいて、空いた時間に皆様の本来業務を進めていただく方が、税理士へ支払う報酬以上のメリットは確実に受けられると思います。


事前に対策をすることが大事です!!
よく「決算を組むときだけ税理士さんにお願いすればいいんでしょ」と考えておられる方がいらっしゃいます。いざ事業年度終了後に資料を持ってきていただいても、それをまとめて計算した税額を報告すると、その方の想像していた金額よりかけ離れている場合、「何とかしてくれ」といわれる場合があります。しかし、事業年度が終了した後では、節税対策としてできることがほとんどありません。基本的に節税対策を行うのであれば、事業年度終了の日までに手を打たなければなりません。逆に赤字になってしまい、「これでは困る」という場合も同様です。もちろん「出た結果は素直に受け入れ、払うものは払う」という考えの方であれば、決算だけ税理士にお願いするのでもよいと思いますが、それでよい人とは、お金に余裕のある人ぐらいでしょうか。経営者自身の思い描いていた業績と、会計事務所から出された結果が異なるという話は、よくお聞きます。


決算数字のコントロール
決算は、会社の通信簿(成績表)です。この決算数字を元に、銀行や取引先などは御社を評価し、貸出の実行、利率の決定、取引の開始などの決定を下します。
たとえば銀行について、通常では銀行借入をしなくてもよい方でも、
・店舗リニューアル
・機械等設備購入
・新規従業員雇用
・取引先資金回収条件の悪化
・未収金増(貸倒含む)、在庫増
・その他緊急事態
などで、お金を借りるときはあると思います。そのときたまたまよい数字が積み重なってきていればよいのですが、あまり計画性がなく、毎年の決算も行き当たりばったりだと、評価を受けにくい(希望融資額を受けられない)決算書になっている可能性もありますし、急にきれいな(評価されやすい)決算書にしようとしても難しいところもあります。もちろん基本業務の業績が決算数字を良くする第一の要因ですが、赤字黒字にかかわらず決算対策を毎年きちっと行い、納得して決算を作成することも大事です。


やりすぎ注意!!
決算で支払う税金がある場合、
「税金を払うぐらいなら自分の事業のための資金に使いたい」
と思われる方も多いですが、これは正直な本音だと思います。しかし、節税対策のやりすぎはいけません。節税にもいろいろ種類があります。税額よりも節税対策の方が資金負担が大きくなることもあり、資金繰りを圧迫する可能性もあります。節税対策のやりすぎは、税額は減少しても、銀行等対外的にはあまり評価されない決算数字となっている場合もあります。支払う税額や節税対策で必要となる資金、あわせて将来の資金繰りについての検討、対外的評価を受けやすくする決算数字、経営者の将来の構想など総合的に勘案して検討すべきです。

経営者の皆さんの最終目的は、事業を発展させ、思い描いていた夢を実現することにあり、節税はそのための一手段にすぎません。要は総合的なバランスが大事だと考えます。


常時節税対策
また節税対策は決算前でなくてもできます。たとえば期中に設備投資をする場合、その金額(もう少し買うと税額控除の適用を受けられる、この種類の資産は税額控除の対象になるなど)や購入かリースかといった契約形態など、その都度検討することにより、節税を可能にします。これは当事務所においては、毎月月次監査で伺うことにより、その都度の対応を可能にしております。


当事務所の決算予測・対策
当事務所では、期首より10ヶ月経過後を目安に決算の予測及び対策を行います。この決算予測・対策には、
・節税
・決算数字のコントロール
という2つの目的があります。この決算予測・決算対策は、毎月の月次監査により作成される信頼性のある月次試算表をベースに、経営者の皆様の意見をもとにして、決算までの未経過月の予測をして行います。当事務所では「正しい現状把握なくして将来の事業発展はない」という考えのもと、月次巡回監査を通して適時正確な月次試算表の作成を基本業務としており、これにより決算の予想数字、税額を正確に把握でき、税額を減らしたいということであれば、何がどのくらいできるのか、決算数字をもう少し良くするには何をどれだけしたらよいのか、時間的余裕もありますので、十分に検討して手を打つことができます。


たとえば5年後には機械を購入したい、その費用は○○円で、借入を円滑に実行してもらうには、そのころまでにどういう数字を挙げていけばよいのか(自己資本の充実、資産圧縮、キャッシュフローの改善など)といった将来の計画、構想とも連動して毎期決算数字をコントロールしていくことが、戦略的に経営をおこなっている、そして事業遂行を行き当たりばったりではなく、計画的に行っているといえるのではないでしょうか。

この計画的、戦略的に行うということが、経営者の目指す目標、夢を達成する最大の近道であると考えております。この近道は事業規模の大小は関係ないと思います。

(これは建設業を営む方で、経営事項審査を行う場合についても同様です。たとえば現状の評点ではCランクだが、Bランクになるには後何点必要で、そうなるためには・・・と考え、対策を打つことが、戦略的決算対策といえます)


書面添付制度

書面添付制度を積極推進しています!!

 税理士又は税理士法人が作成した税務申告書について、それが税務専門家の立場からどのように調整されたか(計算し、整理し又は相談に応じた事項)を、申告書に書面を添付することにより明らかにする制度です。税務執行の一層の円滑化・簡素化を図ることを目的とし、平成13年の税理士法改正により、従来からあった制度が拡充されております。


 この書面を申告書に添付した場合、税務調査が行われる前(※1)に、添付書面を提出した税理士が税務当局に対し、添付書面に記載された事項につき、意見を述べる機会を与えられます。この段階で調査の必要性がないと認められた場合には、実地調査省略となります。又は、後日調査となった場合においても、事前意見聴取がされていることにより調査の効率化が期待できます(※2)。


 この制度は、税務の専門家である税理士の立場をより尊重し、適正な申告納税を果たすために付与された、税理士の権利のひとつであります。虚偽記載があった場合には税理士が懲戒処分を受ける場合もあり、税理士としての業務品質が問われる制度であるともいえます。


 当事務所では独自規程を設け、その基準をクリアしたお客様に対しては、この申告書への書面添付を積極的に推進しております。また当事務所では関与する全てのお客様が、書面添付が可能となるよう、月次巡回監査を通して、書面添付を可能とするための大前提である信頼関係を確立し、適正な会計処理を可能とする体制構築をご支援していきたいと考えております。


 お客様にとっては、書面添付制度を通じて適正申告納税を実現することにより、税務申告に関し、安心感を得ていただけると思いますし、正しい数字をつかむことができますので、今後の経営戦略についても正しい方向へ導くことができるでしょう。一部金融機関では、申告書に書面添付されていることでその信頼性を評価し、借入金利を優遇する商品もあります(※3)。


 書面添付制度を是非活用しましょう。そして活用できるようご支援いたします。

 

《参考》

「平成18事務年度 国税庁が達成すべき目標に対する実績の評価書」(財務省 平成19年10月5日付公表)によると、平成18事務年度における税理士法第33条の2に規定する書面の添付割合(法人税)は 5.4%で、前事務年度(4.9%) から上昇している とのことです。


(※1)納税者に事前に調査日程を通知する場合に限ります。

(※2)税務調査省略を保障するものではありませんので誤解なきようお願いいたします。

(※3)「TKC戦略経営者ローン」詳しくはこちら


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